労働条件明示のルールが変更されます②

令和6年4月1日以降に締結される労働契約について、新たな労働条件明示のルールが適用されます。

「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」(厚生労働省)(001156048.pdf (mhlw.go.jp))を加工して作成

前回に引き続き今回は、「3.無期転換申込機会・無期転換後の労働条件」について
新しく公開されたモデル労働条件通知書(001156118.pdf (mhlw.go.jp))を参考に確認していきます。


無期転換ルールとは?

同一の使用者との間で、締結された2以上の有期労働契約が通算して5年を超えて更新された場合、
有期契約労働者※からの申し込みにより、無期労働契約に転換されるルールのことをいいます。
※有期契約労働者とは、契約社員、パートタイマー、アルバイト等、名称にかかわらず、雇用期間の定めがある労働者を指します。

無期転換の申し込みがあった場合、使用者は申し込みを承諾したものとみなされ、
申し込み時の有期労働契約が終了する日の翌日から無期労働契約となります。
※使用者は無期転換を断ることができません。

「無期転換ルールハンドブック~無期転換ルールの円滑な運用のために~」(厚生労働省)(000518484.pdf (mhlw.go.jp))を加工して作成

無期転換後の労働条件は、別段の定めがない限り、契約期間を除き直前の有期労働契約と同一となります。


3.無期転換申込機会・無期転換後の労働条件

無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、
・無期転換を申し込むことができる旨(無期転換の申込機会)
・無期転換後の労働条件

これらを書面により明示することが必要になります。

無期転換申込機会の明示

モデル労働条件通知書記載例は以下の通りです。

労働者が無期転換申し込み期間に無期転換の申し込みをしなかった、または権利を行使しないと表明している労働者であっても、
契約更新の度に、無期転換を申し込むことができる旨と無期転換後の労働条件を明示する必要があります。

無期転換後の労働条件

無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件を書面で明示する必要があります。

明示方法は、事項ごとに明示するほか、転換前後の労働条件の変更の有無、変更がある場合はその内容を明示する方法でも問題ありません。
令和6年4月1日から、無期転換後の労働条件については
「無期転換申込権が発生する契約更新時」と「無期転換申込権の行使による無期労働契約の成立時」のそれぞれで明示義務が生じます。

ただし、契約更新時の段階で明示した労働条件から特段変更がなければ
契約成立時の明示では、すべての事項が同じであることを書面で明示すれば足ります。

尚、上述の通り無期転換後の労働条件は別段の定めがない限り、契約期間を除き直前の有期労働契約が適用されます。

均衡を考慮した事項の説明について

無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件を決定するにあたり、
就業の実態に応じて他の通常の労働者(正社員等の無期雇用フルタイム労働者)とのバランスを考慮した事項について
会社は有期契約労働者に対し説明するよう努めなければならないこととなります。

・「考慮した事項」とは、業務の内容、責任の程度、異動の有無、その範囲等


労働条件の明示を怠った場合は…?

労働条件の明示に違反した場合は、30万円以下の罰金が科せられます。(労働基準法第120条)

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