トラブルを未然に防ぐ休日・休暇のポイントとは?

query_builder 2024/10/11
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トラブルを未然に防ぐ休日・休暇のポイントとは


ポイント:大前提として賃金計算期間の公休日が明確でないと、正確な休日の取扱いはできません。休日の取扱いが不明確なことにより、未払賃金の発生や、年次有給休暇が取得できないなどの労務トラブルが発生しやすくなります。休日の取扱いを明確にして、ドライバーへ明確に説明できるようにしましょう。


法定休日と所定休日

 所定出勤日以外を「公休日」と呼ぶことがありますが、法律上、公休日は「法定休日」と「法定外休日」に分かれます。法定外休日を所定休日といいます。

 法定休日とは、法律上、最低限確保しなければなければならない休日のことです(労基法第35条)。法定休日の原則は1週に1日ですが、4週に4日と定めることも可能です。当然、4週4日の方が会社の自由度は高くなります。

しかしながら、4週4日を適用するためには就業規則上の根拠が必要であり、4週がどこからはじまるかの起算日を明確にしておく必要があります。この起算日は36協定の起算日とは別に設定しなければいけません。管理の煩雑さや健康面への影響から、特別なケースを除いて、4週4日は採用しない方がいいでしょう。

 所定休日とは、法定休日を超えて定める会社の休日をいいます。平日勤務、土日が公休日のシフトであれば、2日の公休日のうち、1日が法定休日、もう1日が所定休日を取得したことになります。また、法定休日は1週のうちどこかで1日確保できていればよいため、曜日まで特定する必要はありません。

 法定休日を確保できなかった場合は、その出勤時間について法定休日割増(35%以上)が必要です。逆に言えば、毎週1日どこかで休日が付与できているのであれば、法定休日割増を支払う必要はありません。


休日の振替と代休


 休日の振替とは、出勤日と休日を振り替えることをいいます。休日の振替が成立するためには、当初の休日予定日に出勤する、または当初の出勤日に休日をとる前に、振り替える日を明確にしておく必要があります。

 また、このような労働契約上特定されている休日を他の日と取り換えることが、業務命令として言えるためには、就業規則上の根拠が必要とされています。注意しなければいけないことは、出勤日となった週について、一週40時間を超えるような勤務になった場合には、労基法37条の割増賃金を支払わなければいけません。

 一方、代休とは、特定された休日に出勤した後に替わりの休日を付与することをいいます。前述の休日の振替は、休日出勤とは扱われませんが、代休の場合、出勤した日は休日出勤として扱われます、そのため休日労働させるために、36協定の締結が必要とされます。

 また、賃金計算期間中に代休を付与することができない場合に、次の賃金計算期間以降に代休を取得することを前提に割増賃金を支払わないことは、労基法37条違反となります。


年次有給休暇の運用


 2019年4月からの5日取得義務化の影響もあり、年次有給休暇の取得率がトラック運送業においても上がってきています。それに従い、年次有給休暇の運用について、労使間で揉めるケースが増えてきています。

 年次有給休暇の運用の大前提として、公休日に年次有給休暇をとることはできません。つまり、年次有給休暇を請求するためには、請求する以前に所定労働日と公休日が明確でなければいけません。

トラック運送業の現場で振替休日や年次有給休暇について混乱するケースのほとんどの原因は、勤務シフトが明確でないことです。配車担当者は、どうしても捌かなければいけない仕事を中心にドライバーのシフトを組みがちですが、賃金計算期間の前に定める勤務シフトについては、賃金計算期間の所定労働日+所定外出勤日でシフトを組むことが、揉め事を抑える勤怠管理の大前提です。

 また、トラック貨物輸送では物量増加による増便やドライバーの病欠へ対応するため、勤務シフトの変更が頻繁に起こります。配車担当が、明日休日予定だったドライバーを出勤させるような場合には、それが休日の振替なのか、代休であるかを明確にしないと、給与を計算する際に労務担当者が混乱してしまいます。

 次に年次有給休暇の運用において大切なことは、請求ルールの徹底です。年次有給休暇の請求は何日前までなのか、請求が承認されているかを明確にし、記録に残しておくことによってトラブルを防ぎます。



社労士との発展


 トラック運送業界において、労務管理や賃金計算の適切な運用は、東京のような都市部で特に重要となります。東京の交通事情や経済活動の活発さにより、トラックドライバーの業務は非常に多忙であり、労働条件の管理が一層複雑化します。社労士(社会保険労務士)はこのような環境で、企業が法律に則った労務管理を行うための専門的な支援を提供する役割を担っています。以下に、トラック運送業界における労務管理の課題と、社労士がどのような視点でアプローチできるかについて考察し、発展的な取り組みについて提案します。


 まず、労働基準法に基づく「法定休日」と「所定休日」の概念の理解と明確化が、労務管理の基礎となります。東京のトラック運送業では、週休制が固定されていないケースが多く見られ、労働時間の変動が頻繁です。このような状況で、法定休日を1週に1日確保することは、ドライバーの健康管理や労働法令遵守の観点から不可欠です。しかしながら、実際の運用では、週ごとのスケジュールが変わるため、4週4日の法定休日制度を採用することもあります。社労士としては、就業規則における起算日の明確化や、ドライバーへの適切な説明を行い、休日の扱いに対する誤解やトラブルを防ぐサポートを提供することが求められます。

また、休日の振替と代休の運用についても、ドライバーや管理者が理解していない場合、未払賃金や労働時間の超過に伴う割増賃金の発生など、労務トラブルの原因となり得ます。東京のようなビジネスが活発な地域では、配送需要の増加や突発的な業務変更により、振替休日や代休の処理が必要となることが多いでしょう。社労士は、会社とドライバーの間で事前にルールを整備し、振替のタイミングや代休の付与手続きについてのガイドラインを策定することで、円滑な労務管理を支援することが可能です。特に、36協定の締結やその運用に関するアドバイスを行い、企業が法的リスクを回避しながら効率的な運用を実現できるようにサポートすることが重要です。



 年次有給休暇の管理もまた、東京のトラック運送業界で見逃せない課題です。2019年から施行された年次有給休暇の5日取得義務化に伴い、ドライバーに対する有給休暇の取得管理が厳格化されています。東京では業務が多忙なため、有給休暇の取得を適切に管理することが難しいケースも見受けられます。社労士は、企業が年次有給休暇の請求ルールを整備し、ドライバーが休暇を取得しやすい環境を整えるためのアドバイスを行うべきです。例えば、有給休暇の申請期間や承認プロセスを明確にし、シフト担当者や労務担当者との連携を強化することで、休暇取得に関するトラブルを未然に防ぐことができます。

さらに、東京の運送業界では、労働者の多様化や働き方改革の進展に伴い、柔軟なシフト管理や労働時間の管理が求められています。社労士としては、単に法令遵守を指導するだけでなく、企業が労働者のワークライフバランスを向上させるための施策を提案することが求められるでしょう。例えば、労働時間管理システムの導入支援や、テレワークやフレックスタイム制などの柔軟な働き方の導入に関するコンサルティングを提供することで、企業の労務管理を効率化し、ドライバーの満足度を高めることが可能です。


 最後に、東京の企業が適切な労務管理を実現するためには、社労士との継続的なパートナーシップが不可欠です。社労士は、最新の法改正や労働市場の動向を把握し、企業に適切なアドバイスを提供することで、労務トラブルの防止や企業の成長に寄与できます。今後も、社労士が東京のトラック運送業界において、戦略的なパートナーとして企業の労務管理をサポートし続けることが期待されます。

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H&Y社会保険労務士法人

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