2024年から2025年にかけて、労働条件明示、裁量労働制、時間外労働の上限規制などに関する法改正が実施されます。特に2024年4月からは、労働条件の明示事項の追加や時間外労働の上限規制適用が拡大されます。そして2024年10月からは短時間労働者の社会保険適用も拡大されます。2025年には育児・介護休業法の改正が行われます。これらの改正により、働き方の多様化や労働者の権利保護が強化される見通しです。
2024年の主な改正
労働条件明示のルール変更
2024年4月1日より、労働契約の締結・更新時の労働条件明示事項が追加されます。
すべての労働者に対し、「就業場所・業務の変更の範囲」を書面で明示
有期契約労働者に対し、更新上限の有無とその内容を明示
無期転換申込権が発生する契約更新時に、申込可能な旨と無期転換後の労働条件を書面で明示
裁量労働制の見直し
専門業務型・企画業務型の裁量労働制について、以下の変更があります。
専門業務型裁量労働制の対象業務に「銀行または証券会社における顧客の合併および買収に関する業務」が追加
裁量労働制の導入・継続の手続きが変更
時間外労働の上限規制適用
2024年4月1日から、これまで猶予されていた一部の事業・業務にも時間外労働の上限規制が適用されます。
原則:月45時間、年間360時間
特別な事情がある場合:月100時間未満、年720時間以内、2~6ヶ月平均80時間以内
社会保険の適用拡大
2024年10月1日から、常時使用される従業員が51人以上の事業所で、一定の要件を満たす短時間労働者が社会保険の適用対象となります。これらの改正は、働き方の多様化や仕事と家庭の両立支援、労働者の権利保護を目的としています。企業は各改正内容を十分に理解し、適切な対応を行う必要があります。
2025年の主な改正
育児・介護休業法の改正
2025年4月1日および10月1日に段階的に施行される予定です。
残業免除の対象範囲拡大(3歳以上小学校就学前の子も対象に)
子の看護等休暇の拡大(行事参加等の場合も取得可能に)
育児休業取得状況の公表義務化(従業員300人超の企業)
介護離職防止のための措置強化
雇用保険制度の拡充と見直し
2025年4月1日より、以下の改正が予定されています。
雇用保険の適用範囲拡大
教育訓練やリ・スキリング支援の充実
育児休業給付に関する財政運営の安定化
社労士との連携
2024年から2025年にかけて施行される労働法関連の改正は、東京の企業にとっても大きな影響を与えます。東京は多くの企業や労働者が集まる都市であり、労働環境や法制度に対する適応が迅速かつ的確であることが求められます。こうした状況において、社労士(社会保険労務士)の存在は企業にとって重要な役割を果たします。
まず、2024年の労働条件明示のルール変更に対応するため、東京の企業は雇用契約書や労働条件通知書の見直しを行う必要があります。特に、「就業場所・業務の変更の範囲」や「更新上限の有無とその内容」などの記載事項の追加は、労働契約の透明性を高めるだけでなく、労働者と企業の信頼関係を構築するためにも重要です。社労士は、これらの文書の作成や変更に関する指導を行い、企業が法令遵守しながら適切な労働条件を提示できるようサポートします。さらに、無期転換申込権の発生に伴う対応についても、企業が適切な対応を行うための助言を提供することが求められます。
次に、裁量労働制の見直しに関して、専門業務型・企画業務型の適用範囲や手続きの変更に対応するため、東京の多くの企業が社労士の専門知識を必要とするでしょう。特に、金融業やIT業など、専門業務型裁量労働制を導入している企業が多い東京では、法改正に伴う新たな業務対象の追加や手続きの変更に対応することが急務です。社労士は、企業の業務内容を詳細に分析し、裁量労働制を適切に導入・継続できるようにアドバイスするだけでなく、労働者の働き方に応じた労働時間管理の適正化を図ることで、企業と労働者双方にとって最適な労働環境を構築する役割を果たします。
2024年から適用される時間外労働の上限規制は、東京の企業にとって特に大きな課題となります。東京では長時間労働が一般的であったり、プロジェクトベースで働く企業も多いため、この上限規制を遵守するための体制整備が急務です。社労士は、36協定の見直しや労働時間の適正管理に関する助言を提供することで、企業が労働基準法に違反しないようサポートします。また、過重労働を防止するための対策を講じることは、企業の労働生産性向上や従業員の健康維持にも繋がります。社労士は、労働時間の実態調査や改善提案を通じて、東京の企業が法令遵守と従業員の働きやすさを両立できるよう支援することが期待されます。
さらに、2025年に施行予定の育児・介護休業法の改正や雇用保険制度の拡充・見直しは、東京の企業が多様な働き方を支援するための取り組みを強化する絶好の機会です。特に、子育てや介護と仕事を両立させるための制度が拡充されることにより、働く世代のニーズに応えた柔軟な働き方が求められます。社労士は、企業がこうした法改正を適切に取り入れ、従業員が育児や介護と仕事を両立できるような制度設計を支援することが重要です。たとえば、育児休業取得状況の公表義務化に対応するためのデータ収集・管理方法の整備や、短時間勤務制度の導入に関するアドバイスを提供することで、企業が積極的な働き方改革を実現できるようにサポートできます。
2024年10月からの社会保険の適用拡大についても、東京の企業は準備が必要です。特に、短時間労働者を多く雇用する企業にとっては、社会保険の適用対象となる従業員が増加することで、保険料の負担や手続きの複雑化が懸念されます。社労士は、社会保険の適用基準や手続きに関する最新情報を提供し、企業がスムーズに対応できるよう支援することが求められます。また、短時間労働者にとっても社会保険への加入は将来の安心につながるため、そのメリットを労働者に対して分かりやすく説明することで、企業と労働者の双方にとって適切な保険加入を促進する役割も果たします。
総じて、東京の企業がこれらの労働法改正に対応するためには、社労士との連携が不可欠です。社労士は、最新の法改正に関する知識をもとに、企業の状況に応じた実践的なアドバイスを提供することで、労務管理の円滑化と企業の成長をサポートします。これからの時代、社労士は単なる法令遵守の専門家ではなく、東京の企業が労働環境の変化に柔軟に対応し、労働者の多様なニーズに応えるための戦略的パートナーとしての役割を果たすことが期待されます。
目次
H&Y社会保険労務士法人
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