人事・労務担当の役割とは

query_builder 2024/10/04
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ポイント:人事・労務担当者の役割は、第一に前線で働くドライバーが、安全・安心で働き甲斐のある職場環境を作ることにあります。労務管理において、コンプライアンス(法令遵守)は重要ですが、安全・安心のための1つの土台に過ぎません、もう一つの土台である、やりがいや互い尊重を大切にしましょう。


安全・安心で働きがいのある職場を作る


 人事や労務管理とは何のためにあるのでしょうか。人事担当の仕事といえば、人事評価の実施や人の配置を提案する、人事制度を提案、メンテナンスなどが挙げられます。また、労務管理は勤怠管理や給与計算、規定や協定書の整備などが思いつきます。

 私たちはついつい目の前の業務を単に作業するようになってしまい、何のためにやるのかを見失いがちです。これまでの現場での経験を通じて、私なりに人事・労務管理の仕事の目的を考えてみると、「働く人が安全・安心で働きがいのある職場づくり」という目的がシンプルでしっくりきます。

 マズローによる欲求5段階説によれば、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されると言われています。働き手の立場に立てば、法律に則って働けることは安全や安心につながります。法律で禁止されている危険な作業や長時間労働をすれば安全ではないですし、法律に従い給与が支払われないと生活に不安を感じます。

 次に、働き手は自分や家族の将来に展望を持ったり、仕事を通じて人に貢献したり、やりがいを見出したいものです。こうした従業員の成長を実現するための仕組みを作ることも人事の仕事の1つです。

仕組みとは具体的に言えば、賃金制度設計、キャリアパス設計や福利厚生制度などを指します。賃金制度は、法令を遵守しなければなりませんが、会社で自由に設計することができ、会社の特長となります。従業員にとってモチベーションの上がる賃金制度、キャリアアップ制度や福利厚生制度を設計し・運用することができれば会社の成長に大きく貢献することができます。

経営者が期待すること、管理監督と情報の整理


 経営者の立場から人事労務担当者に期待することは大きく分けて2つあります。

1つは、管理することです。労働力や創造力など人的資源を最大限に機能させることは経営者の目標の1つです。そのための労務管理の一側面は管理・監督をすることにあります。つまり、働き手がそれぞれの役割を定められたルールに従い、遂行しているかを管理、統制します。

具体的には、ルールを違反した場合には、懲戒を実施し、再発を防止することも重要な仕事の1つです。そして、ルールが機能していない時には、そのルールをメンテナンスする必要もあるでしょう。

 2つ目は、情報の整理です。組織において人事労務上のトラブルが発生してしまうことは不可避です。例えば、会社とトラブルになった従業員を継続して雇用するか、金銭的に交渉して解雇するか、経営者は常にメリット、デメリット、コンプライアンスや法的リスクを計算しなければいけません。

この時、人事労務担当者は、法的なリスクや過去の事例について専門家の意見を聞きながら、関係者への影響などを考慮し、経営者が経営判断できるよう情報を整理します。経営者がメリットやリスクへの評価を正しく理解していない場合には、説明することも大切です。



従業員が期待すること、説明と配慮


 実際に言葉するかは別として、従業員は会社に対しいつでも説明を期待しており、求めています。具体的には、生じた問題について会社の過ちの原因は何なのか、この作業をする根拠や意味は何なのか、これからどう対策するのか、どう保障してくれるのか、といったことです。彼らが納得して働けるために、現場の労務担当者、人事労務部長などそれぞれの立場で説明できるようにしなければいけません。

 本書では多くの法令を提示していますが、これは根拠を示すためです。人が納得するためにはたくさんの説明が必要です。また、人事労務問題は会社と従業員の権利調整といった側面が強く、いわば落としどころを探るような場合がほとんどです。相互に理解するためには、根拠と論理が必要です。

 一方、従業員は人間であり、感情があり、そして思いやりを求めています。管理・監督、論理や生産性に注目し過ぎると、気持ちやその人にとっての意味といった主観的な世界を軽視しがちです。論理で満たされるのは世界の半分に過ぎません。端的に言えば、真剣に従業員を思いやることが求められます。



契約より大事な信頼関係


 明治以降、近代日本では西洋の法治主義を積極的に取り入れてきました。契約自由の原則もその一つです。そして、契約というのは、原則として人は約束を破るものだという性悪説的な見方です。

 一方で古くの日本土着の主従関係や徒弟制度では、こうした契約の関係ではなく、御恩と奉公のような信頼関係です。日本の労使関係はこのような感覚がまだ残っているような気がします。日本の中小企業では、いまだに使用者は雇入れ時に雇用契約書などで労働条件を明確にしたがりませんし、労働者側もことさらにそれを要求しません。

この現象は、知識不足や管理が徹底していないことだけではなく、お互いができれば信頼関係でやっていきたいという現れではないでしょうか。

 労務管理の一側面は、近代の法治主義による統制管理です。それは法体系から論理的に構成されます。もう一側面は、日本特有の信頼関係によるものです。本書は基本的に法体系に基づく労務管理に重点を置き解説するものですが、実際の労務管理においては、前者を前面に出すことはあまり、得策ではありません。

経営者やそれに近い監督者・管理者は、経営指標の達成や法令遵守の課題解決の重圧から結果を急ぎ、従業員に対して丁寧な説明を省いてしまう傾向があります。極端に言えば、仕事のルールが変更した時に「法律で決まっていることだから」、「経営会議で決まった方針だから」と言って済ませてしまうことです。これでは信頼関係を築くことは難しいでしょう。

 法律や経営方針は必ずしも従業員に寄り添ったものではないかもしれませんが、信頼関係築く、守るという意識は大切です。

社労士との発展


「安全・安心で働きがいのある職場を作る」というテーマは、東京のような多様性とスピード感のあるビジネス環境において、特に重要な課題です。首都圏に集中する企業では、人材の確保と定着、そして多様な働き方への対応が求められます。こうした環境で「社労士(社会保険労務士)」の専門知識とサポートを活用することは、企業が持続可能な成長を遂げるうえで非常に効果的です。


1. 働き方改革の推進と多様な労働力の活用

東京では、多様なバックグラウンドを持つ人材が働いており、働き方改革が企業の成長に直結します。フレックスタイム制やテレワークなど、柔軟な働き方を導入することで、従業員のワークライフバランスを向上させることが可能です。社労士は、これらの制度導入に伴う労務管理や就業規則の整備をサポートすることができます。特に、労働時間管理や評価制度の適正化に関するアドバイスは、働きがいのある職場づくりに直結します。


2. 人材育成とキャリアパスの設計

東京の企業は、激しい競争の中で優秀な人材を確保・育成することが必要です。キャリアパスの設計や教育研修制度の充実を図ることにより、従業員の成長意欲を引き出すことが可能です。社労士は、人材育成の専門家として、適切な評価制度やキャリアアップの仕組みを整備するサポートを提供します。これにより、企業は従業員のスキルアップを促し、働きがいを感じられる環境を構築できます。


3. メンタルヘルス対策と健康経営の推進

東京のビジネス環境は高いストレスが伴うことが多く、従業員のメンタルヘルス対策が重要です。従業員の健康状態を定期的にチェックし、早期に問題を発見・対応することで、生産性の向上と離職率の低減につながります。社労士は、労働安全衛生法に基づいた健康診断の実施や、メンタルヘルスに関するカウンセリングの導入を支援することができます。さらに、健康経営を推進するための助成金の活用についてもアドバイスを提供できるため、企業は積極的に取り入れることを検討すべきです。


4. 労務トラブルの予防と法令遵守

東京では、雇用に関するトラブルが増加傾向にありますが、法令遵守を徹底することがトラブルの予防につながります。就業規則の整備や労働契約書の作成、時間外労働の適正管理など、労務管理の基本をしっかりと実践することが重要です。社労士は、労働基準法や労働契約法などに精通しているため、法令に沿った労務管理体制の構築をサポートできます。また、トラブルが発生した際には、迅速かつ適切な対応を行うためのアドバイスを提供します。


5. 社内コミュニケーションの活性化と従業員満足度の向上

東京の企業は多くの従業員を抱えることが多く、社内コミュニケーションの活性化が課題となります。従業員満足度の向上は、企業の成長と密接に関連しており、組織全体でコミュニケーションを円滑にすることが重要です。社労士は、従業員アンケートの実施や組織改善の提案を通じて、社内コミュニケーションの改善を支援します。また、従業員が自分の意見を発信できる仕組みを整えることで、働きがいのある職場づくりを推進することができます。


6. ダイバーシティの推進とインクルージョンの強化

東京は多様な人材が集まる都市であり、ダイバーシティの推進は企業の競争力を高める鍵となります。多様なバックグラウンドを持つ従業員が安心して働ける職場環境を整備することで、イノベーションの促進や新たな価値創造が可能となります。社労士は、ダイバーシティに対応した人事制度や働き方の設計をサポートし、企業の発展を支援します。


7. サステナビリティと地域貢献への取り組み

東京の企業は、地域社会との共生やサステナビリティへの取り組みが期待されています。社労士は、企業のCSR活動やSDGsの達成に向けた取り組みをサポートし、地域社会との連携を促進します。従業員のボランティア活動を奨励する仕組みや、環境に配慮した働き方を推進することで、企業の社会的な評価を高めることができます。


8. DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用による労務管理の効率化

東京の企業は、業務の効率化と働き方改革を同時に進めるために、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用することが求められます。勤怠管理システムやクラウド型の人事システムを導入することで、労務管理業務を効率化し、生産性の向上を図ることができます。社労士は、DX導入に関するアドバイスやシステム導入後の運用サポートを提供し、企業のデジタル化をサポートします。




まとめ

東京における企業の成長と働きがいのある職場づくりのためには、社労士の専門的な知識とサポートを活用することが不可欠です。働き方改革の推進、人材育成、健康経営、法令遵守、ダイバーシティの推進など、多様な課題に対応するために、社労士と連携して労務管理体制を強化することは、企業の持続可能な成長を実現するための重要なステップとなります。社労士の専門的なサポートを受けながら、安全・安心で働きがいのある職場づくりを目指すことで、企業は東京という競争の激しいビジネス環境においても確固たる地位を築くことができるでしょう。

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H&Y社会保険労務士法人

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