日給制と月給制のどちらがよいか

ポイント

どちらでも構いません。時間外計算は1日8時間及び1週40時間の超過で計算するため、どちらでも総労務費は変わりません。日給の方がわかりやすいというドライバーがいますが、きちんと説明すれば月給でも納得してもらえます。

一定のニーズがある日給制

ここで言う日給制とは、所定の給与が1日単位で示されている給与体系ことを言います。具体的には、雇用契約書や労働条件通知書において、日給1万2千円というように示されます。

日給制は、一日当たりの給料か明確に提示されているため、一定程度ドライバーの要望があるようです。日給×1か月の出勤日数で大まかな月給が計算できます。確かに、月給制の場合には、毎月の所定労働日数も変化するので、一日当たりの給料が分かりにくいかもしれません。

ちなみに、給与事務では日給月給という言葉もありますが、これは月給制のうち、欠勤控除や遅刻早退の控除がある給与制度を言います。また、上級管理職のように欠勤等の控除が全くない月給制を完全月給制と言います。 完全月給制を除き、本質的には、日給制と月給制の違いは見え方にあるだけで、給与支給総額に影響はありません。

日給制でも1週40時間超労働に割増賃金を支払う必要がある

労働時間は1日8時間及び1週40時間が原則です。これを超える労働時間については、割増賃金計算をしなければいけません(労基法第37条)。日給制の場合、1日8時間超については間違いなく時間外労働時間として計上されますが、1週40時間超の時間外労働時間の割増が計算されないケースが多くみられます。

図表では、1日所定労働時間が8時間、土日休みの週休2日制で週に6日(10日土曜日が公休日出勤)48時間勤務した例です。土曜日10時間の出勤は全て割増で支払う必要があります。

重要なのは時間単価に引き直していくらか

最低賃金は時間単位で定められています(最低賃金法第3条)、また、残業代も時間単価で計算しますので、基本的に賃金は時間単価により計算されます。残念ながら、時間単価に引き直すと、ドライバー職の時給が他業種に比べて低廉であることが明確になります。 労務担当者は、給与体系を設計、改訂する際には、時間単価をベースにして構築します。

日給制における固定(定額)残業制

固定(定額)残業制とは、残業の有無にかかわらず一定時間に相当する残業代を固定的に支払う制度です。日給制の場合、日給は1日所定労働時間を示すのではなく、残業を含めて1日運行した際の給与を示す固定残業制を採用することが多いです。

ただし、この固定残業制の要点を抑えていないと給与未払いとなるリスクがあります。

例えば日給が1万2千円である時に、この日給が所定労働時間と残業3時間分の給与を含んでいるのであれば、日給が3時間分の残業代を含んでいることが明確に伝わっている必要があります。また、運行が3時間を超えた場合には3時間を超えた分の残業代を支払うことも必要です。

深夜帯の運行であれば、深夜割増についても固定で支払うのであれば、同様にその旨を明確にします。

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